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潮騒、黒のワンピース by 麻生新奈

作:麻生新奈 HP:AS ASAS de ASOU
分量:21枚  使用お題:二度目の水浴び、お盆、川遊び、溺死者、蝉時雨を聞く、汗を拭う、海底、向日葵(ひまわり)、麦わら帽子、麦茶


 蝉の鳴き声が家の中まで侵入する。幼児の身体に悪いというので、冷房は強くしてもらえない。部屋の中だというのに、汗が浮かんで、うざい。
 茉莉(まり)は、時計を見る。そろそろ、父親が出立すると言っていた時刻だ。その前に、と、冷蔵庫から麦茶を持ってきて、ごくごくと飲んだ。
「そろそろ、仕度をしなさい」
 父の声が、見咎めるように聞こえる。実際は、声に棘などないのだけれど。
「このクソ暑いのに、ほんとに行くの。……せめて、シャワーくらい、浴びさして」
 こんな口の利き方、義母が生きていれば、また溜息を漏らしただろう、と、茉莉は自分で思う。父親は、
「カラスの行水で頼むよ」
 穏やかな声で返しただけだった。
 茉莉は、父親にくるりと背を向けると、バスルームに向かう。汗がにじんだ部屋着を脱ぎ捨て、ぬるいシャワーで汗を流す。このごろ、バスルームではつい、鏡に目をやってしまう。
 肩につく真っ直ぐな髪は、黒すぎる。茉莉は、まだ中1だけれど。中学を卒業したら、パーマをかけて、金髪にすると決めている。死んだ実母と、同じ髪質。顔だちも、実母に似ている。実母は、美人だった。義母よりも、ずっと。
 そして、膨らみ始めた、胸。ものすごく嬉しい訳じゃないけど、大嫌いというわけでもない。大人になりたいとは思わないけど、子供のままでいたいわけじゃない。
 茉莉は、小さく溜息をついて、シャワーを止める。バスタオルで身体をふいて、真っ黒なワンピースを身につける。

 義母が消えて、初めてのお盆。居間まで出ると、小さな聖良(せいら)は、すでに黒い服を着ていた。父親が背中のジッパーをチェックしている。父親も、黒いスーツだ。茉莉から見ても、イケメンだし、よく似合う。
 聖良は、義母よりは父親に似ている。幼稚園の年長組、茉莉が母を失ったのと同じ歳。黒い子羊を連想させる、くるくるの巻き毛を揺らして、父親を見上げ、
「海に、行く?」
 確かめるように、言う。
「ああ。聖良が行きたいんだろ?」
 父親の掌が、聖良の頭を撫ぜる。
「聖良が行きたいんじゃないの。ママが、来てって」
「ああ、そうだったね」
 暑い中、こんな格好で海なんて。どうかしてる、と、茉莉は思う。夏の海は、明るい色のワンピースと麦藁帽子かなんかで、行く場所だ。せめてもの抵抗に、ストッキングもニーソもやめて、素足に黒いサンダルを履いた。
 玄関のドアを開けると、蝉の声が大きく聞こえた。義母が種を蒔いた向日葵が、大きな花をつけている。
 聖良は、父親の車、後部座席のチャイルドシートに潜り込む。父親がぱちりとベルトをはめてやる。茉莉は、何もせずにその横を通り過ぎて、助手席に乗った。

 瞼の底に、あの日の光景が動く。川遊びしていた聖良が、足を滑らせた。義母がじゃぶじゃぶと川に入っていった。助けるだろうと思った、助かるだろうと思った、だから茉莉は橋の上からそれを見ていた。義母に抱き上げられた聖良が、手を伸ばすのも。見知らぬ大人が、その手を掴むのも。見ていた。
 次の瞬間、義母が沈んだ。見間違いかと思った。茉莉が目を瞬く間に、大人たちが数人、川に飛び込んだ。さすがに、橋の上から河べりまで駆け下りたけれど。もう義母は見えなかった。3ケ月を経た今も、まだ、見つかっていない。あの日、上流で豪雨があったことは、後から知った。義母の事故の前後、川の水かさは増えていて。海まで流されたのではないか、と大人たちは言う。

 父親がハンドルを握り、車を出す。
 幼稚園児の夢に、死んだ妻が出てきたから。あの川が海へ注ぐ河口に行くのだと言う。自分の父親ながら、こんなに頭の悪い人だったろうかと思う。聖良はたぶん、大人の誰かが「母親の遺体は、今頃、海底だろう」と言うのを聞きかじって、海の夢を見たのだろうに。
 茉莉は目を閉じ、会話を拒んで、眠ったふりをするうち。本当に眠りに落ちていった。

 茉莉の実母が死んだとき、茉莉は聖良と同じ歳だった。母は、茉莉の首に紐を巻き、居間の飾り梁にその紐をかけて、引いた。茉莉がやめてやめてと泣くのにもかまわず、爪先が床を離れ。茉莉が両手で紐をはずそうと暴れる横で、母は自分も吊った縄を首にかけ、踏み台を蹴り飛ばした。それが茉莉に当たったのは、偶然だと思う。茉莉の紐は切れ、母親の縄は切れなかった。ゆらゆらと揺れる母親の遺体を、見上げていたのを覚えている。おそらく、床にぺたんと座ったままで。
 あの直後、家は引っ越した。
 2年後、2度目の引越しで今の家に来て。初めて引き合わされた日から、義母はどこか茉莉に怯えていたと思う。引越し後まもなく、父と義母は、再婚した。茉莉が乱暴な口を利いても、暴れても、睨むことはあっても、言葉で叱ることはなかった。義母と茉莉の間には、言い争いはないが、会話もなかった。
 実母の死と、義母を結びつけて考えるようになったのは、何年か経ってから。世の中に「浮気」というものが存在すること、それが裏切られた家族の心を傷つけることを理解した後だ。
 と同時に、聖良が生まれたのが、父と義母の結婚式の5ケ月後だった意味も、考えるようになった。「出来婚」と言うべきか。それとも、父と義母は2年待った、というべきか。……茉莉の実母、父親の前妻の死から。
 そこまで解った上で。茉莉は、父親のことを嫌いになりきれない自分も、自覚している。


「着いたよ」
 父の声に目を覚ます。車の外へ出ると、左手は河口、目の前は砂浜、小さな駐車場だ。空は夕の色に染まっていた。温かな橙色ではなく、冷ややかな薄青の空に、紫の入った紅を帯びて筋雲がなびく。どこかいやな色だと、茉莉は思った。
「日、暮れてんじゃん」
「途中が渋滞してね」
 聖良のチャイルドシートのベルトを解きながら、父親が応える。聖良も、茉莉同様、眠っていたらしい。くしくしと目をこすり、ふらついた足で歩き出した。景色の良い砂浜へは向かわず、河口の、丈の高い草の生い茂ったほうへ入っていく。止めるかと思った父親は、砂浜へと降り、ぼんやりと水平線に目をやっている。夕日を背に、淡青の空と藍色の海の境界は、ふわりと霞む。二人の妻を失った男は、その色に視線を投げたまま、立ち尽くしているように見えた。
 そんな父を、なんだか邪魔ができなくて。茉莉は、小さな舌打ちだけで済ませて、聖良の後を追った。
 誰にも聞こえない距離を確かめて、口の中で呟く。
「お前がちょろちょろするから、母親死なせたんじゃねぇか。まったく、懲りないのかね。くそガキ」
 小さな聖良は、悲しいようにうつむいて、草を両手でかきわけて進む。地面はぐっしょり濡れている。
「靴、汚れんじゃん」
 茉莉はサンダルを脱ぐと、ぽんと放り、素足で草むらに踏み込んだ。地面は、泥というより、キメが細かすぎてとろりとした砂で、それほど気持ち悪くはない。
 だが、これが靴のなかにずぶずぶ入るのは、イヤな感じがしないのだろうか。
 茉莉は、思うけれど、聖良は迷いもなく、下をむいたまま、自分よりはるかに背の高い草を、かきわけて進む。声は立てない、足音も聞こえない。砂浜からの波の音が、耳につく。黙って歩み寄って、首根っこ捕まえて戻るつもりだったのだが。聖良は意外に速くて、なかなか追いつけない。下手をすると、薄暗くなってきた草の間に、見失いそうだ。茉莉は、仕方なく、大きく呼んだ。
「聖良。いい加減にしろ、服汚れるぞ!」
 言ってから、気づく。聖良は、足首まで地面に沈んでいる。その足を、濡れ砂から引き抜くことなく歩く。膝下丈のスカートの裾が、今にも泥に触れそうだ。
 茉莉は、首を傾げて1歩試してみて。足を上げずに歩くのには、恐ろしく力が要ると解って、止めた。中1の茉莉でさえ、無理なのだ。けれど、聖良は、すいすいと歩みを進める。
「聖良っ!」
 茉莉は、大きく叫んだ。遠ざかる小さな輪郭は、首を力なく俯かせたまま、振り向く気配を見せない。
「聖良ぁっ!」
 茉莉は、力を振り絞って、走ろうとした。まるで泥が足首を掴むかのように、足が重い。これは、この場所の泥の、もともとの性質か。それとも、何かが。幼児の足を急がせるのと同じ何かが、茉莉のことは邪魔をするのか。
「聖良ッ! 聞こえてんだろ!」
 砂浜からは草の群れで隔てられているのに、潮騒が耳の奥をざわめかせる。だが、こんなに思い切り叫ぶ声を、掻き消すほどだろうか。
 聖良が、ついに転んだ。泥が、ぴしゃりと跳ね上がる。そのしぶきは、細く長く上がり、先端は5本の指の形をしていた。泥の手が聖良の背に巻きつき、聖良の体は一気に腰まで泥に埋まる。そのとき、やっと。やっと、聖良が、顔を上げた。
「マ……、ママァ!」
 聖良の背を追うのに集中していた茉莉も、つられて、聖良の視線の先を見る。草の間にかかった白い骸骨。岩か、草か、何にどうもたれているのか、寝椅子かなにかしどけなく横たわったような、曲線の形の、白い骨の連なり。
「ママァ!」
 泣き出した聖良の姿が、ずぶりと沈む。泥が、重力に逆らって、小さな体に這い登り、抱き寄せるように蠢いた。
 その瞬間、茉莉に沸いたのは、恐怖と。……怒り。
「ふざけんなぁっ!」
 自分の怯えを祓うように、腹の底から叫び声を放った。泥は重く、力を振り絞っても、駆け寄る、というほど、歩みは捗りはしなかった。その前で、聖良がもがく。泥から逃れようと、手でかき、草に掴まる。その草があっけなくすぽりと抜けて、また泥に引き込まれる。
「あんた、なのかっ! あんたなのかよっ!」
 息を弾ませながら、茉莉はわめく。義母のことは、ずっと「あんた」と呼んでいた。
 茉莉はようやく、聖良に追いつく。聖良は暴れながら、臍の下あたりまで、泥に埋まっていた。
 茉莉は、聖良の両肩の下に、自分の腕を入れて。思い切り引いた。自分の足元がずるり泥に引き込まれる。片足を引いて、少しでも硬い場所を探す。草を何本も蹴り倒して、そのうえを足場にした。
 とろりと水を含んだ砂が、薄闇の中、毒々しい赤い色に変わる。生ぐさい臭気が鼻をつく。血、あるいは、臓物の感触。ぞっとして、一瞬、力が緩む。ずるり、と、聖良が、そのぬめりの奥に引き込まれかける。あわてて、力を入れ直した。
「聖良、掴まれっ」
 聖良は嗚咽を上げながら、手を伸ばして、茉莉の二の腕を握る。助けを求める力は、痛いほどだ。
 血反吐は消えた。砂がうごめく。糸ミミズのような、微細な何かが、聖良の肌を這いまわり、茉莉の腕を伝って登ってくる。手を放せ、手を放せと、上がってくる。
「ばっきゃろー!」
 茉莉は、力いっぱい首を振った。幻が去る、泥に戻る。けれど、引いても引いても、聖良を泥から引き上げることが、できない。まるで、綱引きのように、聖良という小さな女の子を引きあう。奪いあう。泥の中のなにかと。あるいは、泥越しの、何かと。
 息が弾む。茉莉は、ぎりりと目を上げて、骸骨を見る。聖良を、あるいは聖良ごと茉莉をも、泥の中へと、死へと引き込もうとする力の、あれが源なのか。怖い。けれど、がんとして、目をそらすのを、拒む。
「あんたのこと好きじゃなかったさ! でも、聖良のために命懸けたのだけは、尊敬したのに! 自分が死んだから連れてくってんじゃ、あたしの母さんと変わらないじゃんかっ」
 あえぐ茉莉の口から、言葉は、滑らかに出たわけではない。息が苦しくて、とぎれとぎれだった。骸骨を睨む。骸骨もまた、茉莉を睨んでいる気がした。「お前にだけは、聖良を渡さない」そう言っているようだった。
「あんたは、あたしが、嫌いか。あたしは、あんたのこと、好きでも嫌いでもなかった。母さんが死んだのは、あんたのせいなのかも、知んないけど。母さんは、あたしにとって、あたしを殺そうとした女だぞ?」
 けれど、そのとき、脳裏に何かがひらめく。たかが夫の浮気に、死を選ぶほどに絶望した女。幼い娘が、自分とともに死んでくれることを信じた。だが、最後の瞬間。生きたいと暴れる娘めがけて、踏み台を蹴り倒す。あのせいで、茉莉の首に巻かれた紐は、切れた。
「聖良ぁッ」
 苦しい息の隙間を捕まえ、茉莉は一気に言葉を吐いた。
「死にたくないなら、死にたくないって言えっ!」
 聖良は、嗚咽に息を奪われている。口を、ぱくぱくと動かした。
「や」
 ようやく、一語。
「やだ」
 泣き声に混ぜて、また一語。
「死にたく、ない。お姉ちゃん、助けて!」
「返せ! あたしの異母妹(いもうと)だ!」
 姉妹の声が重なった瞬間。ぬぽ。間抜けた音をたてて、聖良が、泥から抜けた。勢いあまって、茉莉は、泥の上にしりもちをつく。同時に、一繋がりだった骸骨が、からりと崩れ、バラバラの骨になる。
 ひくひくと嗚咽していた聖良が、わーっと声を上げて泣き出した。茉莉の首にしがみついてくる聖良をそのまま抱き上げ、茉莉はゆるりと立ち上がった。
「聖良。そこの草、折って」
 見てわかるくらい、何本もまとめて折らせる。
 数歩進むと、また頼んだ。
「もう1回、折って」
 幾度か繰り返して、父親の車まで戻った。いつのまにか、空は、夜の前の灰青、何もかも色が落ちて見える。
「どこへ行っていた!」
 父親の怒鳴り声に、びくりとした。夢を見ていたのが、目を覚ましたような、奇妙な感覚。何か言い返そうと半分口を開けたまま、父親が、言葉を続けるのを聞いてしまう。
「あれだけ呼んだのに、無視とは何事だ! 返事くらいできるだろう!」
 ようやく、応える。
「聞こえなかった」
 嘘では、なかった。本当に父親の声は聞こえなかった。潮騒以外、何も。
「それよか。あっちに人の骨がある。誰か、人、呼んで。警察、とか」
「なんだと」
 歩き出そうとする父親を止めた。
「待って。人呼んで。お願いだから」
 父親は、淡暗い中、目をすがめ、ようやく自分の娘が二人とも泥だらけなことに気づいたようだった。

 父親の携帯電話からの110番で、警官がやってきた。茉莉は、聖良の折った草を目印に、警官を案内した。父親も現場を見たがったが、聖良が泣いて泣いて収まらないので、諦めて二人で後に残った。警官は、崩れた人骨を確認すると、回収の要員を呼んだ。
 陽はすでに落ちきっていたけれど、潮の干満でまた流されてしまう可能性もあり。青い制服にヘルメットの男たちは、懐中電灯の光を閃かせながら、草むらの中まで骨を探し始めた。
 誰の骨かは、歯医者の記録などと突き合せて調べていくのだと、警官は説明した。
「聖良の……この子のお母さんの記録、調べてください」
 茉莉が聖良を目で指して言うと、父親は驚いた顔をし、警官は哀れむような目で茉莉を見た。
「この子が、呼ばれたんです。絶対、最初に調べてください」
 警官は、困惑の消えない表情で、父親に確かめる。
「亡くなられたのですか?」
「3ケ月ほど前に、この川の上流で、流されました。まだ見つかっていません」
「……わかりました。ともかく、調べましょう」
 警官は困惑顔で頷いたが。骨は義母のものだろうと、茉莉は思う。


 すでに今日の店じまいにかかっている海の家で、頼み込んでタオルを売ってもらった。泥だらけの服の上からタオルを巻いて、車に乗る。帰路は幸い、道が混まなかった。
 家に帰りつき。
「聖良、一緒に、シャワー、浴びよ。流してやるよ」
 茉莉がいうと、父親が驚いた顔をした。義母がいた頃も、消えた後も、茉莉は聖良の世話をしたことがなかった。この三ケ月は、食事の仕度から洗濯、着替え、風呂まで、父親が面倒を見ていた。
 茉莉は、自分の変化に照れた笑いを、唇を引き結んで隠すと、聖良をバスルームへ伴う。泥だらけの服を脱いで、脱がせた。茉莉は、自分と聖良に、かわりばんこにシャワーをかける。肌理の細かい砂は、二人ともの服の中の肌にまだらに残り、聖良に至っては黒い巻き毛まで汚している。
 茉莉は、聖良の横にしゃがんで、目線をあわせる。
「髪も流そうな」
 茉莉が、聖良のおでこを指先で押して上を向かると、聖良が両手で耳を塞ぎ、目をぎゅっと閉じた。おそらく頭を洗ってもらう時は、いつもそうしているのだろうと思う。茉莉が、聖良の黒い巻き毛に、ゆっくり水流をあててやると、巻き毛は面白いほど真っ直ぐに伸びて、茉莉の髪に少し似た。
 聖良の肌は、あちこち、痣だらけだ。
「聖良、がんばったなぁ」
 茉莉が、思わず声に出すと、
「おねえちゃんも、がんばった」
 聖良が、鸚鵡返しに言って、しゃがんだ茉莉の肩口に、抱きついてくる。茉莉は、それを抱きとめて、ふと。
 二人を姉妹にするために、義母はあんなことをしたのではないか、という考えが、脳裏をよぎった。
「まさか、ね」
 茉莉は、小さく独りごち、
「出よっか」
 聖良に声をかけて、立ち上がった。

「潮騒、黒のワンピース」了
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  ※コメントタイトルでネタバレしないでください。
  ※コメント本文ネタバレ可。
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Comments for this article...

拝読しました!

胸騒ぎのするタイトルに引き込まれ、グイグイ読まされました。
ちょっとやさぐれた少女が語る、四人の母娘の微妙な相関図。
クライマックスの危機と窮地の描写が、この方は本当に上手と感心します。

少し話は反れますが、きょうだいって、本当に大事にしとかないと。
社会では、住居借りるにしても就職するにしても、すぐ保証人が要求される。
きょうだいお互いしか頼れない状況って、ゴロゴロあります。

拝読しました。

茉莉の家族に対する複雑な心の内がとても丁寧に描かれた作品だな、と思いました。
彼女の過去も、今置かれた現状もとても重くて、家族との関係がこれからどうなってしまうのだろうと、読んでいる途中はハラハラしっぱなし。
泥沼に嵌っていくくだりではもう手に汗を握って、心の中でひたすら「逃げて逃げて―」と茉莉たちに叫んでおりました。
なので最後に一筋の光が見えた時の安心感と言ったらもう。お風呂場での姉妹の会話にじんとくるものがありました。
よかったー。小説でこんなにもドキドキさせられたのは久しぶりです。
茉莉が思うように、辛い事実の裏には実母や義母の愛情が潜んでいるのだと私も信じます。

拝読致しました。

  完成度の凄さに、感嘆致しました。

  茉莉の生母・義母へ対する思いの変化に、茉莉の成長――子供から青年期へ――が感じられ、ホラー的お話であったのに、明るく、ある意味清々しい思いが致しました。また、その変化の兆しを、さりげなく初めに、身体の変化として表していらっしゃるところなど、展開の妙で感心致しております。

  茉莉が思ったように、彼女の生母・義母は、「女」としての性の裏に、「母」としての共通の性を持っていたのではないでしょうか? そして、それが感じ取れた茉莉は、「母」としての第一歩、を既に踏み出したのでは? と、思いました。
  と、同時に、この母違いの二人の娘を持つような父親には、娘のこういった変化とこの二重性を、一生、分かる事が出来ないのでは?とも思いました。
  そして、「父親さん! 一緒に酒を飲んで、お互いの気持ちが分かり合えるような息子を持つために、次の妻を探しませんか? いやいや、貴男だったらもう既に、持っていたりしてww」などと言った妄想まで、浮かんで来ました。

  本当に、素晴らしい御作品、有難うございました。
 

拝読致しました!

 ヤマ場の攻防の緊張感にドキドキハラハラしました! と、まるでアクション作品のような感想を述べたところで、これがホラー作品であることに気付いて驚かされます。ただ不気味、ただ怖いという話とは全く趣が違っていて、泥にまみれて真っ向から死者と対峙する主人公の怒りの叫びに胸が熱くなりました。茉莉ちゃんかっこいい!

 二人の「母」をただ悪者として描くのではなく、それぞれに娘を想う気持ちがちゃんとあったのだと思わせてくれる内容になっていて、嬉しいようなホッとしたような心持です。

 原稿用紙21枚とは思えないストーリーの厚さと迫力に、ただただ圧倒されました。

拝読いたしました

麻生さん、こんばんは。

言葉が乱暴になってしまった茉莉ちゃんの、そうなった経緯辺りが気になりました。
父親から甘やかされているんだなぁといった感情を持っていた状態から浮気の情報が入り、甘やかしているというより自責の念がそうさせているのだと、真実が明るみになる具合が上手いと思いました。

実の母のようになりたいという茉莉ちゃんは、母のことを父親に思い出させようとしていたのかな、と思ったりします。
聖良ちゃんと仲良くやっていける茉莉ちゃんに、今後どのような変化が起きるのだろう、と考えるのも楽しい作品だなぁと思いました。

読ませていただきました

紅月赤哉です。読ませていただきました。

序盤から重たい展開と茉莉のツンツンするのが切ないなーと。中学生なんて多感な頃にそりゃいろいろ巻き込まれたら考えてしまうよねと何か共感してしまいました。

聖良と茉莉はここから始まるのかもしれませんね。きっと母親たちのことを受け入れるのはもっと先だとしても。

素敵なお話、ありがとうございました。

「潮騒、黒のワンピース」拝読しました。

こんばんは。「潮騒、黒のワンピース」拝読しました。

じわじわ来る怖さが序盤からありますね…!
よく見ると聖良ちゃんがお母さんから呼ばれてて、読み返した時ぞっとしました。どう考えてもおかしな台詞なんですけど、茉莉ちゃんがあえて「見落とす」構造が上手いなあと思います。
異母姉妹のぎくしゃくした感じや父親との軋轢、茉莉ちゃん自身の成長などが過不足なく物語に絡んで、無理なく危機へ向かわせているのがすごいです。

茉莉ちゃんは不良っぽい女の子ですけど、山場の救出劇ではその口の悪さがヒーロー感を高めていたように思います。こんな頼もしいお姉ちゃん、かっこいい!
聖良ちゃんにとっては自慢のお姉ちゃんになるんだろうなあと、ラストに芽生えた絆にほっとしました。
緩急のある読み応えたっぷりのお話でした。

拝読しました

 複雑な家庭の、どこかばらばらな三人のドライブが思わぬところに着地してびっくりしました。
 茉莉の人生ヘビー過ぎる……。

 泥の中の攻防の緊迫感、畳みかけ打ちつけるような茉莉の言葉、ものすごくぐいぐい読まされました。
 結末にもちょっと希望を感じさせるようなところがあったり、茉莉の母親ももしかして最後に娘を救おうとしたのかなと感じさせられたり、と読後感もどこか爽やかで。

 いろんなものがぎゅっとつまった、読みごたえある濃厚なお話でした。
 ありがとうございました!

読ませていただきました。

迫力のある文章に、夢中で読み進めてしまいました。

壮絶な体験を、うまく言語化できない茉莉ちゃんの複雑な心情に寄り添って、終始泣きそうでした。最後の柔らかく暖かい聖良との交流に、体の力が抜け、心からほっとした気持ちになりました。

素晴らしい作品、ありがとうございました。

拝読いたしました。

反抗期の突っ張りかと思っていましたが、そんな事情があったとは、屈折するのは無理のない茉莉さんです。でも、なんだかんだと、トドのつまりは妹思いの良い娘さんではないですか!悪霊に対して必死に抵抗する姿に、胸を打たれました。妹さんを救い出した時は胸内で拍手でした。
翻って父親の情けなさに文句が出ますが、妹さんにはかけがえのないお父さんですし、茉莉さんも結局は許しているのかもしれませんね。
姉妹の未来に幸あれです。

感想お返事、10人の方まとめて

感想お返事、10人の方まとめてで失礼します。


■盲管さま
お褒めいただいて、ありがとうございます。
>保証人
そうなんですよね……、私も最近、保証人の判つく局面があって、痛感しています。


■和さま
ハラハラしたと言っていただき、光栄です。
>実母や義母の愛情
一緒に死んで→生きたいなら生きなさい(茉莉の母)、茉莉には渡さない→茉莉が愛してくれるならいいや(聖良の母)と、方向性があっけなく逆むいちゃう、迷惑な愛情なんですけど、……愛は愛^^;


■猫さま
>ホラー的
の「的」の一字に、にやりとしました。ホラーとアクションの間くらい、というのが一つの目標でしたので。
>貴男だったらもう既に、持っていたりして
この発想はなかったです。父親は「もて男」なんですが、聖良の母が死んでからはさすがに育児に時間とられているイメージだったので。
でも、再婚から5年の間に、またなにかやらかしてないとは限らないですよね、なんせ前科ありですから。


■秋待諷月さま
上にも書いたのですが、ホラーとアクションの間くらいが目標だったので、
>アクション作品のような感想を述べたところで、これがホラー作品であることに気付いて驚かされます。
といっていただいて、とても嬉しいです。やった!


■げこさま
>言葉が乱暴になってしまった茉莉ちゃんの、そうなった経緯辺り
前妻の死が自分のせいだという罪悪感を感じつつ、茉莉を愛することはできなかった母親に、
義母を好きでも嫌いでもないけれど「おかあさん」と呼べずに「あんた」と呼んでいた茉莉が
言葉を発するためにこうなっていったんだと思うんですけれども。
そこのあたり十分書けていなかったなあと、ご感想いただいて気づきました。


■紅月赤哉さま
>聖良と茉莉はここから始まる
聖良からみると、母親からはなんとなく距離をおくよう仕向けられてきた姉であり、
姉本人も妹を可愛がるにはほど遠かったんですが。
ここから急に仲良くなりそうです。でも、5歳だとまだ、実母と父の過去の不倫関係までは理解できていないと思うので。
知ったときに、ショックかもしれないですね。


■森崎緩さま
>口の悪さがヒーロー感を高めていた
ありがとうございます。姉と妹ではなく、兄と弟にする手もあったかと思うんですが。
そう言っていただけて、姉妹にしてよかったと思いました。


■彪峰イツカさま
>読後感もどこか爽やか
結局、実母と義母の愛情に関しては、茉莉の想像でしかないのかもしれない、
という可能性はあるんですが。あまりそこを茉莉に疑わせず、主人公特権で、結論であるかのように書いて行きました。
読んでくださった方に、「いい感じ」が残ったのでしたら、光栄です。


■sagittaさま
>壮絶な体験を、うまく言語化できない
茉莉は、実母に殺されかけたことは意識していても、最後に助けられたかもしれないことは、
再度の絶対状況におかれるまでは、考えもせずに来たわけで。
いままであまり考えずに来た子なんだろうと思います。
考えたくなくて、封印していたのかも、ということは、考えながら書いていました。


■ヒラKさま
>トドのつまりは妹思いの良い娘さん
最後に二人の母親の善意を想像するあたりからしても。いい子なんですよね、この子。
>翻って父親の情けなさ
やってることが情けないわりに、二人の妻に愛され、茉莉からも「イケメン」「嫌いになりきれない」という評価で。
いわゆる「優男」タイプです。
>姉妹の未来に幸あれです。
ありがとうございます。今回は作者としても、お気に入りのキャラたちになりました。


お返事が遅くなり、失礼いたしました。
ご感想、ありがとうございました。

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